「悪気なく相手を傷つけてしまう」ことについて
「他の子どもと言い争いやけんかになることが多く、注意すると『どうして怒られないといけないの?(相手は)嫌って言っていないのに』と言う」ことについて
他者とのやりとりは、ボールを使ったキャッチボールと似ています。投げる方は受ける方の様子を捉えて投げ、受ける方は投げられたボールを取ろうとします。
その際、ボールだけではなく、投げるボールの速さや方向、投げるタイミング、表情やしぐさなど付随する情報もあり、受ける方はボールとともに付随する情報も受け取り、捉えた情報からどう返すかを考えて投げ返します。
それが連続することでキャッチボールが成り立つと考えられます。
他者とのやりとりは、ボールを使ったキャッチボールと似ていると考えられます。
すなわち、話し手が発する言葉とともに、声の発し方やスピード・タイミング・表情やしぐさなど言葉以外の情報も付随しており、聞き手はその両方の情報を捉えて吟味し、話し手となって何らかの発信をすることになります。
以上のことを踏まえて「(相手は)嫌っていっていない」という発言を分析すると、言葉以外の情報を重視しなかった、もしくは言葉以外の情報に気づかなかったのかもしれません。
要因が分かると支援が見えてきます。さらに、言葉以外の情報を重視しなかった、言葉以外の情報に気づかなかったのかはどうしてなのか?などと、さらに広く深く背景的な要因を分析することで、他者とのやりとりについて基盤からの応援ができるのでははないかと考えます。

株式会社BASEともかな
テクニカルマネージャー
作業療法士/日本感覚統合学会 認定セラピスト/特別支援教育士
嶋谷 和之(しまたに かずゆき)
[経歴]
1988年 京都大学医療技術短期大学部作業療法学科卒業後、
奈良県心身障害者リハビリテーションセンター 勤務
1996年 大阪市更生療育センター 勤務
2017年 奈良県総合リハビリテーションセンター 勤務
2021年 児童発達支援・放課後等デイサービス FLOW 勤務
現在に至る