「物を投げてしまいます」について
ご相談例「物を投げてしまいます」について
子どもが物を投げる背景には、さまざまなことが推測されます。
考えられる背景や意味合いとしては、以下のようなことが考えられます。
まず考えられることは、子どもは物を投げるという行動で
主張しているのかもしれません。
子どもにとって不快なことや
要求してもなかなか通らないことなどがある場合、
何とかその状況を変えたいということから、
物を投げる行動になる場合が考えられます。
次に、子どもにとっては、投げることが遊びである場合が考えられます。
物に関わる初期段階としては、物を知ろうとすることから始まると考えられます。
その一つの行動として、物を投げている可能性が考えられます。
物を投げる遊びからその物の特徴に気づいたり、
「こうしたら、こうなる」という因果関係に気づいたりすることで、
物の扱い方に変化が生じ、物の扱い方が多様になっていくと考えられます。
物を投げている中で、物の特徴や因果関係に気づきにくい場合、
投げ方に変化が生じにくかったり、
物の扱い方が多様になりにくくかったり、
遊びの発展性が少なかったりすることが考えられます。
三つめに、遊びを見つけることができず、
結果的に物を投げる遊びまたは行動になってしまったという場合も考えられます。
その際に、子どもの持っている働きや環境などが関係すると考えられます。
例えば、遊びがひらめきにくいものの、
遊びの手本やきっかけがあると遊ぶことができる子どもは、
手本となる他の子どもがいなかったり、
きっかけをつくってくれる大人がいなかったりすると、
遊びが見つかりにくいため、
物を投げて遊ぶことしか見つからないということも考えられます。
そのような子どもでも知っている遊びがたくさんある部屋では
遊ぶことができるかもしれませんが、
知っている遊びがあまりない部屋では遊びが見つからない結果、
物を投げる遊びまたは行動となってしまう場合も考えられます。
四つめに、固有感覚のニーズが高く、
物を投げることで固有感覚を充足しようとしている場合も考えられます。
この場合、ほかにも固有感覚を充足するような遊びや
行動が観察される可能性があります。
五つめに、アイデアが思いついて遊ぶものの、
なかなか成功せず失敗が続き、
投げて遊ぶことしか見つからなかったということも考えられます。
子どもの背景・環境・文脈などは、一人ひとり異なります。
一人ひとりの子どもを広くかつ深く捉えることで、
オーダーメイドの応援につながると考えます。
株式会社BASEともかな
テクニカルマネージャー
作業療法士/日本感覚統合学会 認定セラピスト/特別支援教育士
嶋谷 和之(しまたに かずゆき)
[経歴]
1988年 京都大学医療技術短期大学部作業療法学科卒業後、
奈良県心身障害者リハビリテーションセンター 勤務
1996年 大阪市更生療育センター 勤務
2017年 奈良県総合リハビリテーションセンター 勤務
2021年 児童発達支援・放課後等デイサービス FLOW 勤務
現在に至る
一覧へ戻る